死神少女 黄色い爺

「面白いですね
「面白くないですか?
「ああ
「私が何か、分かるのですか
「それはご愁傷様です

「それにしても、面白いですね
「黄色いスーツのお爺さん

「何故?
「貴方の理由ですか?
「私の、理由…ですか

「昔々、雨が降りませんでした
「村の偉い人たちは生贄に孤児を選びました
「それは私でした

「名前?
「長い時の流れの中で失われてしまいました
「哀しくなんてありませんよ
「ただ…虚しい

「何をしているのですか?
「墨を磨っているんですか

「面白い人ですね
「ふふ
「笑うことも面白いと思うことも少ないですからね
「貴方は貴重な人です

「何を書くのですか?
「ええ、気になります
「文字ですか?
「読めますよ

「歳は7歳です
「哀れ…ですか

「黄色いお爺さんは本当に面白い事を言いますね
「どうして黄色いスーツなのですか?

「金運が良くなる…のですか
「誰かにあげたいものでもあるのですか?
「旅に…行きたかったと
「世界1週旅行で家族を全員連れて…
「明日

「私は気にしませんよ
「私の存在意義がかかっていますから
「どうして黙るのですか?
「そうですね…哀れんで、います

「けれど、いつかは会えるのです
「出来うる限りに遠く?
「私の裁量では決められません
「すみません

「私が謝る事でもありませんでしたね

「黄色いお爺さん、遺言状ですか?
「そうですね
「争いがあってはなりません
「一種のハレの舞台なのですから
「明日は

「旅行会社に電話?
「構いませんよ
「旅行は延期…中止ではないのですね

「黄色いお爺さんは今日、旅に出ますが

「どういうもの?
「実際に体験してみてください

「…悪くないものだと、思いますよ

「私はこうして此処にいますが、それは、強い怨み故です
「後悔などしていませんよ

「貴方のような人に出会うと、複雑ですが、ね
「そうですね
「私は幸せに死ねなかったので、せめて…と、思います

「何をしているのです?
「紙に文字を書いては、丸めて捨てて…
「まだ、教えない?

「まだ

「楽しみですね
「どんな面白い事が起こるのでしょう

「出来た?
「どんなものが出来たのですか
「見せてください

「幸夜…
「こうや、と読むのですか
「これは何ですか
「名前?…私の

「幸夜

「頂いて良いのでしょうか
「幸せな夜など、運ばないのに
「嗚呼、私に幸せな夜を、と

「ありがとうございます

「さあ、逝きましょう