死神少女 完結 狡猾な仕事

「狡猾に仕事はするべきですね
「けれど、これは仕事ではない
「貴方は…誰ですか

「いえ、やはり聞かないでおきます

「存在を食われる気がしますからね
「死神は食われても良いけれど
「幸夜は食われてはいけないのですから

「そうです
「私は死神で
「幸夜なのです

「名前は黄色いお爺さんがくれたのです
「黄色いスーツの…

「知っている?

「まるで貴方は神様か化け物ですね
「何故、私は会話をやめないのでしょう?

「きっと、楽しくなってしまったのですね
「色々な人と話して
「様々な死に接して

「他者を怨めなくなってしまったのでしょうね

「死神として、これはどうなのか
「私の仕事は狡猾に行うべきものです

「それなのに

「私は会話を楽しんでしまっていた
「別の宇宙に移り変わるときなのかも
「死ぬべき時なのかもしれません

「それならば

「死神が来て当然だというのに
「来たのは貴方

「貴方は…死神ではない
「化け物
「化け物なのでしょうか

「聞きません
「私は聞きません

「きっと、きっと
「神様が来て、私を別の宇宙に連れて行く
「その時に私は真に幸せな夜を迎えるのでしょう

「貴方の話を聞かせてください

「大きな組織の人
「罪を犯した人
「人ではない人

「私を迎えに来た人

「…がっかりです
「私の新たな旅立ちは
「化け物と一緒なのですか

「神様でも…来てくれれば良かったのに

「会った事はないですよ
「でも、憧れるでしょう?
「私を死神にしてくれたのですから

「私を見ていてくれたのですから

「好奇心は子供の常ですね
「気になってきました
「貴方は誰ですか

「遣い…?

「名前は教えてくれないのですか
「罰として預ける事になった…?

「何をしたのですか?

「お稲荷さんを盗んだのですか
「そうですか
「貴方は狐さんなのですね
「お供えものを食べてしまった

「狐の神様が怒ったでしょう
「それで名前を、ね

「お遣いの狐さんは何をしに来たのですか

「私を迎えに来た?
「あの世の門には死神が連れて行くものです
「誰かが仕事を放り出したのですか?

「門まで連れて行ってくれるのですか?

「違う?では…
「私を連れて行く事で名前が還る?

「私を輪廻の輪に入れる…

「そんな事をして良いのですか
「神様は…怒らないのですか

「狐の神様に…神様が頼んだ
「嗚呼、私を見ていてくれたのですか
「愛して…くれたのですか。
「分かりました

「さあ、逝きましょう