不可思議領域

 此処は密猟区。

 美しい獣が捕り放題の楽園さ。

 いつもより、少し、遠出した。

 

 うん?

 空気が変わったな。

 

 突如、雷鳴が轟いた。

 確かに俺には、聞こえたんだ。

 

 獣たちは平和そうにしている。

 気のせいだ。そうだ、きっと…。

 

 男は雷に打たれて死んだ。

 

 

完全同一

 私はA-1102と申します。

 趣味は食べることと、

 食べたものを作ることでございます。

 名店の味を再現したくて、食べに参りました。

 店主はロボットの私を見て、

 不可思議そうにしておりました。

 

 主の元で、完全に同一の味を披露致しました。

 

 主は、美味しいよ、と笑いながら、

 いつものものを、と仰せになりました。

 

 主の今は亡き母君の

 おにぎりを作らせていただきました。

 

 主の優しい笑顔が原動力でございます。

 

 

終焉の鍵

 私は小さな鍵を拾った。

 

 交番に届けると、

 これはきっと、おもちゃですね、と言われた。

 

 赤い石のついた金色の鍵。

 

 しばらくすると、連絡が来た。

 引き取り手が来ないのですが、どうしますか?

 

 私は鍵を手に持って歩いていた。

 なんだか落ち着く。

 

 何のための鍵だろう…?

 使うことのない鍵はこの手に。

 

 

絡みつく腕

 私の身体に絡みつく鎖。

 重い…重い…。

 

 其れは死者の腕。

 鎖のように私にのしかかり、縛り付ける。

 

 おいでや、おいで。

 

 その腕の主を知っている。

 だから、決して逝きはしない。

 

 ざまをみろ。