観劇

「たまにはデートしないか?」

「良いわよ」

「オペラのチケットは取ってあるんだ」

「断られたら、どうする気だったの?」

「お前は断ったりしないだろう」

「分かってるじゃない」

「夫婦だからな」

「ディナーは?」

「良い店を探しておいた」

「素敵ね」

「子供抜きの、楽しみだ」

 

 

二段ベッド

 ベッドの毛布の中で寝ている。

 苦しい。もう嫌だ。

 

 毛布の感触。

 目を開けても二段ベッドの柵がある。

 起きたくない。

 

 あれ?

 目を覚ました。

 

 私は実家ではなく、

 自分の家の布団に包まって、

 横たわっていた。

 

 

忘却

 ぽろぽろ。

 

 夢だったんだ。

 そうなんだ。

 

 ぽろぽろぽろぽろ。

 

 あれ、どんな夢を見ていたっけ。

 思い出せないな。

 

 ぽろぽろぽろぽろぽろぽろぽろぽろ。

 

 目が覚めた。

 もう、思い出せない。

 夢を見ていたかも定かではない。

 

 

見えない傷

 身体の傷が心の痛みを現している。

 

 こんなに痛むのだ。

 きっと傷ができている。

 

 その痛みから逃れるために、

 身体を傷つけていた。

 

「やめてくれ…」

 

 それだけは聞いてあげられない。

 夢なんだから、許してよ。

 

 

痩せた少女

「ねえちゃ、ねえちゃ」

 

 私は貴女の姉ではない。

 がりがりに痩せた少女。

 地獄の入り口で、私は冷たく考える。

 

 どう拒絶したら、哀しむだろうか。

 

「ねえちゃ」

 

 しがみついてくる。

 抱き上げるとその体は、驚くほどに軽い。

 

「ねえちゃ」

「…なあに?」

「ばいばい」

 

 私は布団の中で眠りから覚めた。