自業自得

「へえ、PTSDなんだ?」

 

 面白がるような響き。

 男はそれ以上何も言わなかった。

 

 単に私が聞いていなかっただけかもしれない。

 その日はそれで終わった。

 

「俺、PTSDになっちまったんだ」

 

 恐ろしい目に遭ったと訴える。

 

「へえ、PTSDなんだ?」

 

 私は優しくなんかない。

 嫌いな人間が不幸になっても、構わない。

 

 

初夢

 紫色の夢を見た。

 紫の靄がかかった世界の中で、

 神威がくぽが佇んでいた。

 

 茄子…と、連想した。

 

 いい感じだ。

 現実とは思えない世界にそう、思う。

 

 一富士二鷹…三茄子。

 初夢とは1月1日の夜に見る夢を指す。

 2日の昼だが、それでも縁起がいい。

 

 浮上していく意識のなか、

 いい夢だったと思った。

 

 

信頼

 やっぱりやめておくです。

 語り出したら、30分超えると思うし。

 

 いいんですよ。

 …好きな時に話してください。

 

 互いを思いやる会話。

 私は嬉しく思いながらも、少し淋しかった。

 私を頼ってほしい。

 自分の想いに当惑していると、

 

 毛布の中で、私は横たわっていた。

 しばらく考えた。

 

 信頼、か…。

 

 

夢の終わり

 ぼんやりとした感覚。

 腕も足も、ちゃんとついているか分からない。

 それくらいの茫洋とした意識のなか、

 私は佇んでいた。

 

 さようなら。

 

 意識が浮上する。

 ゆっくりと上の方へ昇って行く。

 上へ、上へ…。

 

 気がつくと毛布の中で微睡んでいた。

 もう少しで、完全に目が覚める。

 

 忘れてしまうな…。

 

 

あの背中

 強くて、優しい背中…。

 私を守ってくれる。

 優しさに包まれて、

「生きな、藍ちゃん」

 その、優しい声を聞くと、背中が遠ざかった。

 意識が浮上する。

 

 上へ…。

 

 目覚めた私は噛み締めた。

 あの言葉を、あの背中を…、あの優しさを。

 嗚呼、素敵な夢だった。