無限の城

 白い、白い、白い…。

 一面の白。

 真っ白い石で築かれた城は、

 不思議と禍々しく此処にあった。

 

「あいつらしい趣味だ」

 

 鮮紅の髪と瞳の青年は言う。

 魔に属する鮮紅の青年はくすりと笑った。

 

「今日こそ落としてやる」

 

 しかし、相当な嫌われようだ。

 入り口を閉ざされるならともかく、

 入り口が消されている。

 何処まで行っても白い壁。

 

「扉を作るかな」

 

 鮮紅の青年が白い壁に手を翳すと、

 見る見るうちに紅く壁が染まり、溶けた。

 

 魔の力で壁を溶かす酸を作り出したのだ。

 中へ入り込むと、突風が青年を襲った。

 

「お?」

 

 基本的に鮮紅の青年と、この城の主では、

 鮮紅の青年の分が悪かった。

 

 酸を操る青年に、風と水、磁気を操る主では

 勝負にならないのだ。

 

 成すすべもなく吹っ飛ばされて行く青年が呟く。

 

「愛してるぜ」

 

 この城の美しき城主・純白の少女は、

 鮮紅の青年の婚約者だ。

 

 生まれ出でた時から決まっていた。

 紅と白の運命。

 

 運命に逆らう少女に、青年は恋した。

 当たっては砕けた。

 ひどい怪我をした事もある。

 

 この無限の城で…少女にあったのは一度。

 それ以来、拒絶され続けている。

 

「お前だけだ…愛してるぜ」

 

 渦巻く風が

 青年をあちらこちらに叩きつけながら、運んでいく。

 …純白の少女の元へ。

 

「真実か」

 

 久方ぶりに会う彼女は少し成長したようだ。

 

「真実、運命とは関係なく我を愛するか」

 

 何だ、そんな事か、と、

 青年は微笑む。

 

「当然だろう?」

「………………認めてやろう」

「?」

「今度は扉を作ってやろう。好きなときに…来るが良い」

 

 鮮紅の青年は純白の少女に抱きつき、

 突風で追い出された。

 

 しかし、次からは在ったのだ。

 

 無限の白き城に、扉が…。