睡魔襲来

 この世界には睡魔という、魔物がいる。

 誰もが睡魔と共生し、眠り、睡魔が去れば起きる。

 

 しかし、睡魔は気まぐれだ。

 

 …3時間経った。

 睡魔が来ないなあ。

 

 布団に包まり、長く過ごす。

 段々と疲れてきたので、

 今日は睡魔はお休みなのだろうと、起きだした。

 

 睡魔とは宇宙人である。

 人の夢を食べて、生きているのだ。

 人間もまた、

 宇宙人なのだという、

 話のもって生き方をされると説明がややこしくなるが、

 

 何にせよ、人と睡魔は共に生きている。

 

 パソコンを開くと睡魔とすれ違った、

 残念な人々がブログを書いていた。

 

『睡魔を犬が脅かして眠れなくなりました』

『獏なのか訊こうと思っていたら、嫌われたらしい』

 

 獏…というか、

 睡魔が何か分からなかった昔の人が、

 獏という生き物がいるのだ!と、やったのではないか?

 

 睡魔に失礼である。

 

 私は病気だから薬を飲んでいる。

 心の病なので睡眠薬を飲む。

 

 それでも夢はたくさん見るのだが、

 そういうときは睡魔が喜んで食べて、

 起きる事が出来なくなる。

 

 たくさん寝ると、

 私の夢の味に飽きてしまうのか、

 当分の間、睡魔は来ない。

 

 しかし、時間が経つと、睡魔はやってきて、

 私を眠らせる。

 

 私が夢を見始めると、ぱくんぱくんと食べ始める。

 目覚める直前の夢しか覚えていないのは、

 睡魔が食べてしまっているからなのだ。

 

 睡魔はシャイだから、

 目覚めそうな人からはゆっくりと逃げる。

 

 睡魔の姿を夢想する。

 

 妖精のような姿か、化け物のような姿か、

 それとも、人と、変わらないのだろうか。

 

 そんな事を考えるが、

 私は睡魔の姿を知っているはずなのだ。

 眠りに誘うときに、睡魔は現れるのだから。

 

 不意に眠くなった。

 目の前に、綺麗な少年がいた。

「遅れてごめんね。

 君は僕が独り占めしてるから、眠れなかったんだね」

 私の睡魔。私を独占する気まぐれな少年。

 

 睡魔襲来。

 

「さあ、おやすみ。

 ちゃんと目覚めたら、忘れてね」

 

 私たちはいつもの指切りをした。

 

 眠りから覚めると、夢の内容を小説にした。

 私の趣味だ。

 

 何気なく、ネットに潜ると、

 睡魔と写真を撮影したいという願いを叶えたという、

 誰かの話が話題になっていた。

 

 それは、その誰かにしか見えない姿で、

 写真は大切にアルバムにしまってあるという。

 

 睡魔の姿に関する記述はなかったが、

 独り占めしたいような、素敵な姿だったのだろう。

 

 私もカメラを用意しよう。

 睡魔と仲良く、なりたいから。