異形の花

 麗しく、艶やかに、綻んで…。

 

 私は恋をしたようなの。

 何度も何度も、恋をしたから、

 どうすれば良いか知っているの。

 

 甘い微笑みを浮かべて、

 馨しい芳香をこの身に漂わせる。

 

 彼は、

 こちらを見て笑った。

 

 掛かった。

 

 私たちは恋人ごっこをする。

 同じ服を着て、同じものを食べる。

 

 夢の墓場の奥底で、ゆっくりと開いていく花弁。

 まだ、まだね…、もう少し。

 

 私を見つめる彼の心は、

 甘やかに酔っていた。

 心だけの関係で、終わらせるつもりは、ない。

 

 私もよ。

 

 美しく、花開く…。

 そのときは、今。

 

 ねえ、此方へ来て頂戴?

 

 彼に囁きかける。

 人の形の幻影に連れられ、

 彼は本当の私のところへやってくる。

 

 幻影の私に魅せられた彼は、

 意図せず、一歩、私に近づいた。

 

 そして、

 本当の私をようやく見た。

 

 鮮烈な紅の巨大な花弁。

 花弁の周りには、人骨がたくさん。

 私が食べちゃった、男たち。

 

 彼は悲鳴を上げて、逃げ出そうとしたわ。

 けれど私は離さない。

 花弁を絡み付けて、彼を私の真ん中に誘う。

 

 私の中心にねっとりと絡みつく蜜。

 それは彼を溶かしていくのよ…。

 

 ゆっくりと花弁を閉じていく。

 一緒に眠りましょう?

 

 麗しく、艶やかに、馨る花。

 

 人喰いの闇。

 異形の花はその花弁を閉ざし、

 中で蠢く彼に語りかける。

 

 ねえ、貴方を愛しているの…、

 食べちゃいたいくらい…ね。

 

 うふ、うふふ…。

 

 私のなかで逝って頂戴?