死後の世界の審判を待とう

 この世界と言う枠の中にはまり込んで、

 苦痛の中を生きるのには、飽き飽きした。

 

 これまで、私なりに必死に生きてきた。

 それでも世界は私に厳しかった。

 

 小学校では担任に苛められた。

 不登校になって、

 ようやく、中学校に行けるようになって、

 高校に入ったら、病気になった。

 

 治る病気ではないらしい。

 偏見を持たれる病気らしい。

 小学校の頃には発症していたらしい。

 

 それでも、生きた。

 大学に入って、ある日、絶望した。

 

 高い、高いところから、飛び降りた。

 ひしゃげた自分を私は見ていた。

 死んだ。なのにどうして私は此処にいる?

 

 お前は自殺をした。地獄行きだが、それまでは…。

 

 声が聞こえた。

 なんだろう?地獄への道を教えてくれるのだろうか?

 

 幸せに暮らせ…。

 

 どういう、意味…?

 

 気がつくと、私は暖かい場所にいた。

 緑が豊かで、

 花が咲いていて、動物が駆け回っていて…。

 

 貴女も自殺したの?

 

 優しそうな女性が私に尋ねた。

 頷くと、

 

 此処が何処か、何かは分からない。

 けれどきっと…死後の審判を待っているのよ。みんな。

 

 こんな優しい世界にいて良いの?

 すぐに、責め苦に襲われなくて良いの?

 

 私の問いに…、

 

 辛く、苦しかったのね。

 私も苦しかった。

 きっと、私たちは地獄行き。

 けれど、確かに此処は温かく私たちを包む…。

 

 私が得られなかった幸せかもしれない。

 

 え?

 

 此処で、私が生きているうちに得られなかった、

 優しい幸せを全て、

 得たら…地獄に行くのかもしれない。

 

 そうかもしれないわね。

 死後の世界の審判を待ちましょう…。

 

 柔らかな風が吹いた。

 涙の零れる、優しさに…私は幸せを感じた。